どーも、
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最近読んだ本についての感想です。
いろんなところで高評価が目につくので読んでみました。
生涯投資家
対 象:村上世彰氏をうっすら知ってる方、若者
村上 世彰 文藝春秋 2017-06-21
おすすめ度:★★★★★
※評価基準はこんな感じ
★★★★★:書評読む前に即注文!
★★★★☆:個人的にオススメ、是非購入検討ください
★★★☆☆:書籍代はペイしそう、立ち読みで気に入れば
★★☆☆☆:立ち読みで十分かな
★☆☆☆☆:時間とお金の無駄
概要
噂に違わぬ良作でした!これが出版社の紹介・宣伝文。
「お金儲けは悪いことですか?」ここに書かれている通り村上氏が半生を振り返り、報道では誤解が多かった自身の投資哲学を書き記したものです。
2006年6月、ニッポン放送株をめぐるインサイダー取引を行った容疑で逮捕され、のちに執行猶予つき有罪判決を受けた村上ファンドの村上世彰氏。逮捕間際に言ったその言葉が注目された。以後、表舞台から姿を消したが近年株式取引の世界に復帰。その動向が注目されている。
本書は、その村上氏の最初にして最後の著書であり、半生記であり、投資理念の解説書でもある。灘高―東大法―通産省を歩んだエリートがなぜ投資の世界に飛び込み、いったい何を試みたのか。ニッポン放送、阪神鉄道、東京スタイルなどへの投資において、いったい何があったのか。その投資哲学、日本企業、日本の経営者たちへの見方はどうなのか。そして今後何をしようとしているのか。
村上世彰の理念
本書では再三に渡って、「資金を循環させること」の重要性が説かれ、そのための手段として「コーポレート・ガバナンス」が必要であることが書かれています。村上氏の投資行動の背景には、投資を通じて資金循環を促し、日本社会を活性化、よりよくしていこうという想いがあったようです。
村上ファンドが活躍した当時、失業マンは学生でワイドショー的な報道でしか村上ファンドを知りませんでした。
そこから得られる知識からは、村上ファンドのやり方は、資金を余らせてる企業の株を取得し株主還元を迫る、または、株主還元要求で株価を吊り上げ売り抜けるというものでした。
本書を読むと、それは間違っていないが一部分を切り抜いて、村上氏の意図を伝えぬままの報道のようで、上記のようなコーポレートガバナンス意識の低い企業に資金循環を促すという崇高な理念が根底にはあったようです。
誤解多き人
本著でもご自身が「経営者に向いてない」と語っていますが、コミュニケーションが得意ではなく誤解も多かったようです。頭が良すぎてついてこられる人が少なく、正しいことを端的に言っているのですが、あまりにストレートすぎて敵を作ってしまう。
頭がよくな我々のレベルまで下りて話せば誤解も減るのでしょうが、それは彼らにとっては時間がもったいなく、わからないレベルの人が問題と考え、自身の高次元のコミュニケーションのやり方を変えないために誤解が生じてしまう。
ホリエモンなんかもその傾向がありますが、読んでいてそんなことを感じました。
現在のようにSNSが発達しておらず、マスコミを経由せず自身の考えを直接伝える手段がなかったのも不幸だったかもしれません。
10年早かった
村上氏の活躍から約10年経ち、やっとスチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コードが認識されてきました。ROEが意識されるようになり、株主還元が積極的になされ、アクティビスト・物言う株主が悪という風潮もなくなってきました。
東芝とかタカタみたいにガバナンスが働いてなくて崩壊した大企業も出てきてます。
そう考えると、時代が村上氏についてこれていなかったとも言えると思います。
当時はまだ会社は従業員のものという風潮が強く、村上氏は乗っ取り屋というレッテルが貼られ、完全にヒールとして報道されていました。
また、本作でも触れられていますが、インサイダー取引での逮捕は完全に嵌め込みというかホリエモンの逮捕と同じく、出る杭を叩く意味合いがあったのでしょう。
(もっと逮捕しないといけない事案いっぱいあるだろ・・・)
投資のヒントは?
村上氏の投資は今もなお一貫して、資産価値に対して割安な企業を購入するというスタイルとのことです。これは意外でしたが、新しい先進的な技術やサービスをする企業はよくわからないとのこと。
それが端的に現れてるのが著作中にあった、「1万円が入った財布を7000円で買う」ような投資です。
村上ファンドってなにか特別な錬金術なような特別なことをやってるのかなぁと漠然と考えていますが、時価総額を超過するようなキャッシュや土地を持っている企業を買う(≒低PRR投資)という至極当たり前の、誰にでもできそうなことをしていたのが印象的でした。
(手間さえかければ失業マンもできそうな・・・とも思ってしまいます。)
まとめ
最初は綺麗事ばかりで自己弁護じゃないの??と捻くれた読み方をしてましたが、最後の章やあとがきを読んで、これはけっこう真実、自身の熱い想いが真摯に書かれたものではないか?と思うようになりました。(なので、購入迷われてる方は、あとがきを立ち読みしてから判断してもよいと思います!)
さらにこちら対談で現在のお姿をみると、びっくりするくらい老けてて、孫を持つ年齢になり低迷する何か残したいという想いも出てきたのかなぁとも感じました。
※本著の収益は投資教育に使うとのことです
ということで、長くなってしまいましたが目先の株式投資力が上がるとかってタイプの本ではないですが、イチ読み物として、投資の社会的価値を考える一冊として、とってもおすすめです!
以前ご紹介の野村證券第2事業法人部もおもしろかったように株関連のノンフィクションはいいですね。
次に時間があればノンフィクションジャンルでは、「熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録」(大王製紙創業家3代目のボンボンが海外カジノで会社の金を散財した話)を読んでみたい。
あと、村上ファンドが活躍した時代の株式市場の雰囲気をご存じない方には、こちらが気軽におもしろく読めておすすめ。
(同じ内容ですが上が大きく1冊で、下2つは文庫サイズですが2冊に分かれてます。)
坂本タクマの実戦株入門 (白夜コミックス 225)
坂本 タクマ 白夜書房 2006-10-17
マンガ パチンコトレーダー
坂本タクマ パンローリング 2010-01-15
マンガ パチンコトレーダー [システムトレード入門編]
坂本タクマ パンローリング 2010-03-12
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